訪問リハビリ内で実施している作業療法評価~認知症編~
こんにちは、作業療法士の松尾です。今回は、当事業所で認知症の方を対象に良く利用する作業療法評価について、使用方法や目的など含めて紹介したいと思います。よろしくお願いします。
はじめに
まず、どの疾患でも共通する内容ですが、基本情報から目を通していきます。診断名や既往歴(過去の病気)、家族構成や自宅環境、介護保険か医療保険かなど、事前に提供いただく情報を元に情報収集します。これらの事前情報を元に、初回訪問時に評価する内容を決定、訪問することが多いです。
認知機能評価
次に、私が訪問した際に良く利用している作業療法評価について、簡単に紹介します。
①MMSE-J(Mini Mental State Examination-Japanese) 精神状態短時間検査ー改定日本版 を利用し、利用者の認知機能レベルを判断することが多いです。病院などでも良く利用される評価であり、短時間で認知機能レベルを把握できるテストになっています。
②CTSD(Congnitive Test for Severs Dementia) は、上記のテストで評価が難しく、認知症の重度者に利用することが多い評価になっています。こちらも短時間での評価が可能であり、検査の中で日常生活で使用している物品を用いてるのも特徴だと感じます。
③CDR-J(臨床認知症評価法-日本版) は、観察から認知症の重症度を判断する評価であり、家族や周囲の情報を元に評価する項目もあり、生活支援のプランなど決定する際にも用います。
④N-ADL(N式老年者用日常生活動作能力評価尺度)は、口頭による評価が必要なく、行動を観察することによって機能レベルを評価するテストになっています。ただし、評価者の経験・知識などによって、評価が一定にならないデメリットもあります。
⑤ライフヒストリーカルテは、初回評価に利用することが多く、家族などに利用者の幼少期~のナラティブ(今までの人生の流れ)を、簡便に把握できる用紙になっています。治療をする際も、利用者に対する理解度が深まった状態で作業を選択することができ、私はよく利用しています。
⑥生活行為向上マネジメントは、作業療法を視える化するために作成された評価であり、利用者の興味がある作業を聴取したり、目標の達成度を確認するなど、治療への移行もしやすい印象です。
※上記で紹介した評価以外も、利用者に合わせて必要なものを選択して使用しています。全てに共通することとして、利用者や家族の承諾を得てから使用します。
さいごに
訪問リハビリの現場でも、しっかりとした評価を行い、一つの指標として利用しています。訪問現場は、病院でのリハビリに比べて実施回数や時間がどうしても短くなってしまい、限られた中で評価や治療を行う必要があります。評価に関しても拒否される利用者様も居ますが、評価を受けていただいた方に共通することとして、「自分の変化がモチベーションになり、頑張れる」と、ポジティブな印象を持たれている方が多い印象です。今後も、適切な評価と共に、必要な治療を行いたいと考えています。